NHKスペシャル「安全の死角~検証・回転ドア事故~ 」を見ました。これは、2004年3月に発生した六本木ヒルズでの回転ドア事故の原因究明のために畑村教授 が立ち上げたドアプロジェクト を追ったドキュメントでした。

JR福知山線の事故の事もあったのでじっくり見ていたのですが、その中でも、「想定されることは起こりうるし起こるんです」、「安全学ではなく危険学が大事」という言葉が特に非常に強く残りました。なるほど。とその時は思ったんですが、考えてみると、現場などでは、安全確認と危険予知(KY) はセットのハズです。が、それにもかかわらず事故が起きます。

何故か。 畑村教授はこの番組で言います。「情報の伝達が途切れていた」と。また、ドアプロジェクトシンポジウムでも、「本事例に限らず,事故の処置において責任追及と原因究明とが混同されるために,真の原因究明とそれによって得られた知識の伝達が行われず,同じ失敗が繰り返されている」と述べています。まさしくその通りだと思います。さらに畑村教授が会長をされている失敗学会 のサイトをみてみると、この中の「畑村のつぶやき」 という所に教授がかかれた過去の新聞記事が張られてます。その中の言葉。(全文を見ると更にイロイロと考えさせられると思います。が)

・失敗の情報はローカル化しやすく、同じ失敗が繰り返される
・悪いのはマニュアルが形骸化して誰もが考えなくなること。
・ハインリッヒの法則(1件重大災害の裏にかすり傷30件の裏に300件のヒヤリ)
・大失敗は失敗要因が連鎖的に重なって起きるが、連鎖を断ち切れば大失敗は防げる。
・失敗できないという「気」に包まれてくると、異変の兆候に対する判断を誤る可能性がある。
・安全システムを充実しても、それに安住していては守れない。
・失敗は「隠れやすい」「変わりやすい」「単純化しやすい」ので、情報は完全ではない。
・起こりうるトラブルを全て想定して対策を考えておく。

おぉ。なるほど。と頷けることばかりです。 我が意を得たり。なんてことを、最近の何だか妙な空気感から考えていたのですが、JR福知山線の事故に関しては、JR西が近年大きな事故を繰り返し起こしていること。そして、その時の幹部が同じであること。ということから、三菱や雪印と同じ、会社の体質が最たる問題だった。という事のような気がしています。そして、JR西は安全対策の徹底を誓っていますが、今の体質では大事なのは、設備とシステムとルールだ。なんて安易な方向に行ってしまう危惧を感じています。幹部総入れ替えぐらいしないとそう遠くない将来、再び事故を起こしそうな。。。。

また、その他の企業にしても経営判断も含む失敗情報の集積・異変を見抜く眼力・有効利用ができることが経営者の器の一つであり企業価値にも反映される時代だと思います。よく考えて頂きたいなぁ。と
よくわからんとです。。。_| ̄|○